柚子胡椒は九州で親しまれている産直品の一つ。
北部九州では、何の料理でも柚子胡椒を使いまくるほど下地があるものの、関西・関東ではようやく馴染みはじめてきたばかりです。
だから柚子胡椒を買ってみたものの、本場の柚子胡椒を知らなかったり、使い方が分からなかったり、地元福岡、大分人とは使い方や使い勝手について意識が全く違います。
この記事では本場福岡、大分人の柚子胡椒の歴史から使い方などを学んで頂いて、柚子胡椒がもっと好きになってもらえたら幸いです。
1.柚子胡椒とは
まずは柚子胡椒の中身(商品ジャンル)をご紹介します。
1-1.柚子胡椒
柚子胡椒は一般論、大分発祥と言われており、北部九州で盛んに生産、製造が行われ、店頭、道の駅、ネット通販などの販売が行われています。地元人は、うどん、味噌汁、炒め物など何でも添えて使います。関東ではまだまだ鍋=柚子胡椒の認知しかないので、大きな認知のギャップがありますね。
1-2.柚子胡椒の成分
柚子胡椒の成分は基本シンプルです。
- 柚子
柚子の皮を使います。基本、果汁や中身の実は使いません。 - 唐辛子
皆さんご存知のあの唐辛子です。赤柚子胡椒は赤唐辛子を、青柚子胡椒は青唐辛子を使います。柚子胡椒の色違いバリエーションは着色料ではなくて、唐辛子の色を使っていると捉えて頂ければ幸いです。スーパーに大量生産されているものは分かりませんが、手作りする地元人達は着色料は使いません。 - 塩
簡単に言うならば旨味の演出でしょうか。イメージは柚子は柚子の香りを、唐辛子は辛味を、塩は旨味を、そんな捉え方でも大きくは間違っていません。稀に減塩などという柚子胡椒もあるようですが、発祥の地元人から言わせると柚子胡椒で減塩はおかしな話しです。塩は使わなければ製品として成り立ちません。やや少なくしただけで減塩とうたっている場合が可能性としてあります。塩分を気にされる場合は少量で香りがしっかり立つ柚子胡椒選びをして、使う際は少量で利用するようにしましょう。
1-3.柚子胡椒がなぜ作られたか
柚子胡椒が作られたのは諸説あります。食べ物が生み出される場合、基本的には以下のような要素が組み合わさった時です。
- 柚子の生産が盛んに行われていた
- 唐辛子も生産する産地やゆかりがあった
- 地元の人たちでそれらの素材が「長年の生きた経験」から組み合わされた
事によって柚子胡椒は偶然にも生まれたのだと考えるのが通説です。
柚子胡椒の歴史と発祥
柚子胡椒の発祥ページにも発祥についてのご紹介をさせて頂いていますが、最も有力なのは大分説です。
2-1.柚子胡椒発祥大分説
説があるのは「なぜならば」という理由があってしかるべきです。そもそも柚子胡椒が生まれたのは、歴史を知らなければなりません。柚子も唐辛子も実は根源は日本生まれではありません。遥か昔、中国、韓国から入ってきたものでした。それに大分は関係しているのです。
2-2.柚子の歴史
柚子は今でこそ日本の美しい果実の一つとなり、食として幅広く愛用頂いています。柚子好きな女性も多い事でしょう。原産は中国(その時唐の時代)と言われており、日本に入ったのは飛鳥、奈良時代と言われています。という事は西暦700年あたりという事になります。そこから時を経て大分、徳島、京都、栃木、埼玉など分布を広げていきました。
2-3.唐辛子の歴史
次に二つ目の成分唐辛子です。唐辛子も同じく原産は日本ではありません。原産は西インド諸島と言われており、コロンブスが持ち込んだと言われています。一方で唐から来た辛子、唐辛子とされる説もあり、私は中国から来た説と南蛮貿易で運ばれた説が有力だと考えています。書物では天文11年(1542年)「天文十一年波繭杜瓦爾(ポルトガル)人初めて豊後国に来航し南瓜の種子と共に国主大友宗鱗に献ぜり」と、江戸時代後期の農政学者・佐藤信淵(のぶひろ)の『草木六部耕種法』に記されています。驚く事にこの記述の豊後国とは、大分県なのです。
2-4.発祥
柚子と唐辛子が日本の遥か昔に伝わり、大分に深く関係している可能性が高い事が伺えます。そうした事を理由に当店は大分の上津江村や中津江村の最有力説を信じています。産地なくして発祥はありません。素材がないところに食が生まれないので、びんぴょう性がありますね。
3.柚子胡椒の使い方
「柚子胡椒ってなかなか使いきれないよね、余るよね」って北部九州の人に言うと「何で?何でも使えば良いじゃん」って声大きく反論されます。そのくらい九州では当たり前の柚子胡椒が関東やその他地域の皆様には使い道や賞味期限内に利用する技や術に困っている方もいらっしゃるようです。
そこで以下に利用方法についてご案内致します。
3-1.使い方。初級者編
当店の柚子胡椒通販ページでも簡単にご紹介していますが、メジャーな使い方からご紹介しましょう。
1.お味噌汁
味噌汁や豚汁などの「和の汁物」です。
こちらはご存知の方も多いかもしれませんが、お汁物に柚子胡椒というのは北部九州では当たり前の一つです。
2.うどん、そばなどの麺類
こちらもメジャーでしょう。温かいだし汁に柚子胡椒を落として召し上がるのも良いですし、夏のそばにも、わさびの代わりに柚子胡椒というのも良いです。
3.刺身に
当店では柚子胡椒の他に大葉胡椒(詳しくは大葉胡椒ページ)でご紹介をしていますが、刺身を召し上がる際に醤油に付けるのをわさびじゃなく大葉胡椒で召し上がるおススメをしています。市販の柚子胡椒が代用できるか分かりませんが、フレッシュでかつ辛味、風味の強い柚子胡椒であれば、良い仕事をしてくれます。
3-2.鍋と言われても何鍋が良い?に応えます。中級者編
水炊きとか寄せ鍋に良いのは予想出来る事ですが、他にどんな鍋に合わせてみようかな、ってチャレンジする方が意外に少ないようです。そこで言わずと知れた鍋との組み合わせですが、改めて鍋の可能性に追及しましょう。
伍代長谷部は柚子胡椒に合う鍋特集という企画を行っています。こちらでは簡単にピックアップ致しますので興味のある方は特集ページご覧下さい。
3-2-1.もつ鍋
福岡代表格の鍋です。今流行りの鍋でもありますね。
詳しくはもつ鍋料理ページ:https://godai-hasebe.com/nabe/motsu/
3-2-2.ふぐてっちり鍋
福岡の隣山口県下関はふぐが有名です。そのふぐを使った鍋、てっちり鍋です。魚のダシが柚子胡椒に良く合います。
詳しくはふぐ鍋料理ページ:https://godai-hasebe.com/nabe/fugu/
3-2-3.ぼたん鍋
ぼたん鍋とは、いのしし鍋の事です。ジビエ料理という新しい流行も始まっています。
いのししは九州山間部でも食用で捕獲されている為、珍しい鍋料理として有名です。是非お試し下さい。
詳しくはぼたん鍋料理ページ:https://godai-hasebe.com/nabe/botan/
3-2.4.その他柚子胡椒に合う鍋特集はこちら
3-3.レシピ~上級者編
続いて柚子胡椒を使って料理レシピとして仕上げていく方法です。上級者と言っても料理をする方ならとっても簡単なレシピ紹介です。見ている旦那さまも奥様にリクエストされて下さい。
3-3-1.最近は人気のパスタ簡単編から「ペペロンチーノ」
柚子胡椒の風味と辛味がペペロンチーノとよく合うと分かり、当店が最初に提唱し始めました。サラダ油やオリーブオイルを極力使わなくて済むのでノンオイルに近づく良いレシピです。
野菜たっぷりペペロンチーノ風パスタ https://godai-hasebe.com/recipe/pepe/
3-3-2.プロっぽいスパゲッティ「豆乳パスタ」
見た目、料理人が作ったようなパスタです。でも簡単。男性は「なかなか豪華なやつだな」と褒められるかもしれません。
鱈の豆乳スープスパゲッティhttps://godai-hasebe.com/recipe/taratounyu/
3-3-3.鶏肉と柚子胡椒で、照り焼き丼
手早く出来て豪快な柚子胡椒を使ったどんぶり。鶏肉を使ったレシピリクエストも多いのは鶏と柚子胡椒の相性が良いからでしょうね。
鶏モモ肉の照り焼き丼柚子胡椒風味https://godai-hasebe.com/recipe/20140912
4.柚子胡椒選びのポイント
柚子胡椒を買う際に何を基準に選んでいますか?どうせなら美味しい柚子胡椒を買いたいと思っているあなたに、柚子胡椒選びのポイントを柚子胡椒職人がご紹介しましょう。
4-1.産直を選ぼう
やはり柚子胡椒のにこだわっているところで買う方が良いですね。こだわりにはきっと理由がある事でしょう。その理由をしっかり判断して買ってみましょう。産直と言えばやはり九州産や徳島産などになりますね。
4-2.発祥の地の柚子胡椒を買おう
発祥の地と言われる最も有力な大分の山間部。道の駅や直売所も沢山あって、おじいちゃんおばあちゃんの美味しい手作りが買えます。どこもネットでは販売していないので直接行かなければいけませんが、手作りは美味しいですよ。
4-3.柚子の産地で買おう
柚子の産地で柚子胡椒を買うという事は、あまり時間の経っていない柚子胡椒を食べる事が出来るかもしれません。時間が経つとモスグリーンのような色が変わった柚子胡椒になります。よく見た事のある柚子胡椒はそんな色でしょう。でも柚子を擦って作ったばかりの柚子胡椒はもっときれいです。これも大分産や徳島産になるかもしれませんが、市場へのルートが短い自家栽培、自家販売でネット通販をしていれば基本的には鮮度は高いのではないでしょうか。
まとめ
以上柚子胡椒の紹介でした。歴史に学び、料理で体験して下さい。柚子胡椒はまだまだこれからの調味料です。一時は食べるラー油の次は柚子胡椒なんて言われた時もありました。でもぱっと終わって欲しくはありません。先祖代々おじいちゃん、おばあちゃんが頑張って作ってくれた生きた知恵の結晶の商品ですから、細く長くとも愛される人たちに支えられて柚子胡椒が認知されていけば、柚子胡椒を作る全ての職人達が喜ぶことでしょう。そんな柚子胡椒職人達を代表して。
是非柚子胡椒を愛して下さい。応援して下さい。